Category Archives: 心がほどける旅 沖縄、石垣島と宮古島で出会った景色と人々のやさしさ

【心がほどける旅】沖縄、石垣島と宮古島で出会った景色と人々のやさしさ

数年前の春。

 

仕事が立て込んで心に余裕がなくなっていた私は、

 

ふと思い立って、沖縄の離島にひとり旅に出ることにしました。

 

行き先は、以前からいきたいと思っていた石垣島と宮古島。

 

自然と人のあたたかさに包まれたその島々で、

 

私は自分自身を取り戻すような経験をすることになりました。

 

 

石垣島に到着。最初の思い出は「おばぁのそば」

 

羽田から那覇経由で石垣空港に到着したのは午後1時過ぎ。

 

真っ先にお腹が空いて、

 

空港近くの食堂に入ったときのこと。

 

メニューを見て迷っていると、

 

白髪のおばぁが

 

「お腹すいてるでしょ?八重山そばがいいよ」と

 

優しく声をかけてくれました。

 

出てきたそばは、シンプルなのに深い味わい。

 

あとでおばぁが

 

「これは朝から煮込んだ出汁なんだよ」と

 

笑いながら教えてくれました。

 

旅の最初に、こんなやさしさに触れたことで、

 

心の緊張がスーッとほぐれていったのを覚えています。

 

 

「川平湾の風景に、しばらく言葉を失う」

 

翌朝、早起きして向かったのは川平湾(かびらわん)。

 

展望台から海を見下ろすと、

 

想像していた以上の青と緑のグラデーション。

 

まるで絵の具をこぼしたかのような海の色に、

 

しばらく声も出ませんでした。

 

グラスボートに乗ると、

 

水中にはカラフルな魚とサンゴ礁が広がっていて、

 

まるで別世界です。

 

船を操るおじさんが

 

「今日は透明度が高くて当たりだねぇ」とにこにこ話してくれました。

 

旅の偶然がくれたまるでご褒美のような時間でした。

 

 

竹富島の「星の砂」を探した午後

 

石垣港からフェリーで10分、

 

赤瓦の家並みが美しい竹富島へ日帰りで訪れました。

 

自転車を借りて白砂の道を走り、

 

カイジ浜へ向かう途中、小学生くらいの男の子が

 

「星の砂見つけられるかな?」と声をかけてきました。

 

「まだ見つけたことないんだ」と言うので、

 

一緒に砂をすくって探してみたら、

 

5分後、彼の手のひらに小さな星の形の粒が。

 

「見つけたー!!」と叫ぶ彼と、

 

その笑顔に私もつられて笑ってしまいました。

 

旅行先で偶然誰かと何かを一緒に体験する

 

それは思っていた以上に心に残る出来事でした。

 

 

「宮古島では、橋の上で車を止めたくなった」

 

石垣島を後にし、飛行機で向かったのは宮古島。

 

この島ではレンタカーを借りて島内を自由にドライブしました。

 

最も印象的だったのは、

 

全長3,540mの伊良部大橋を渡ったとき。

 

まるで海の上に浮かんでいるような感覚で、

 

景色のあまりの美しさに途中で

 

車を止めてしまいたくなるほどでした。

 

そのまま伊良部島まで行き、

 

観光客の少ない小さな入り江に腰を下ろして

 

しばらくぼーっと海を見ていました。

 

何かをしなくても、ただ海を見ているだけで満たされる

 

そんな経験は久しぶりでした。

 

本当に癒されます。

 

 

与那覇前浜ビーチで見た「宮古ブルー」

 

宮古島でのもうひとつのハイライトは、

 

与那覇前浜ビーチ。

 

白くて細かい砂、そして「宮古ブルー」と呼ばれる透明な海。

 

平日の午前中だったためか人も少なく、

 

砂浜に寝転がって波音だけを聞く時間は、

 

都会では味わえない贅沢でした。

 

地元の人が散歩していたので挨拶を交わすと、

 

「ここの海はな、天気より心の状態で色が違って見えるよ」とぽつり。

 

その言葉が妙に心に残って、

 

旅の最後の日まで何度も思い出しました。

 

 

旅の終わりに、ただ「ありがとう」と言いたくなった

 

帰りの飛行機の中で、

 

ぼんやりと窓の外を見ながら思ったのは、

 

「ああ、行ってよかったな」という気持ちでした。

 

離島には観光地としての魅力だけでなく、

 

「人のあたたかさ」や

 

「ゆっくりと流れる時間」が、

 

ちゃんと生きている気がします。

 

便利さや刺激を求めすぎていた自分が、

 

ふと立ち止まれた旅でした。

 

 

「沖縄離島は、心の荷物をそっと下ろす場所」

 

石垣島と宮古島での旅は、

 

何か特別な出来事があったわけではありません。

 

でも、その「特別なことが何もない」ことが、

 

逆に私の心を癒してくれました。

 

便利なものがないこと

 

人との距離が近いこと

 

時間がゆっくり流れること

 

そのひとつひとつが、

 

旅の思い出になって心に残っています。

 

次に旅をするなら、波照間島や西表島など、

 

さらに静かな離島にも行ってみたいと思います。