昭和の社員旅行の思い出 31歳の時、岐阜、昇仙峡への1泊2日旅
社会人になって19年目、私が31歳だった時。
会社の恒例行事として行われた社員旅行で、
岐阜方面への1泊2日の社員旅行がありました。
今でも記憶に残っているのは、
昇仙峡の独特な景観やブドウ狩り、
温泉宿での宴会など、どこか懐かしい昭和の風景です。
昇仙峡で出会った「仙人がいそうな岩山」
初日に訪れたのが、
山梨県と岐阜県の境にある景勝地「昇仙峡」。
観光バスを降りてすぐ、目に飛び込んできたのは
空へ突き出すようにそびえる巨大な岩山「覚円峰」。
その鋭く尖った岩のシルエットに、
思わず「これは凄い」と思いました。
その時、隣にいた年配の先輩がひとこと。
「ここ、ほんとに仙人でもいそうだな」
その言葉に、みんなで笑いながらも納得。
霧がうっすら立ちこめていたこともあり、
まるで水墨画のような景色でした。
自然の中に溶け込むような静寂と、
どこか神聖な雰囲気を感じたのを今でも覚えています。
ブドウ狩りで感じた「本当の甘さ」
その後向かったのは、昇仙峡近くの観光農園。
ブドウ狩りは、この社員旅行の
「お楽しみイベント」として組み込まれていました。
ハサミを手に一房ずつ選びながら、
「どれが甘いんだろう?」と話していたところ、
農園のおじさんが、
「粒の先が尖ってるやつは、陽がよく当たってて甘いよ」
と教えてくれました。
そんな豆知識を元に、
夢中で選んだ巨峰をその場で食べてみたら、
これが本当に甘くてジューシー。
普段スーパーで買っていたブドウとはまるで違い、
「採れたてって、こんなに味が違うんだな」と驚きました。
一緒にいた同僚が
「これでワイン作りたいな」なんて言いながら、
いつの間にか3房も抱えていたのも、今ではいい笑い話です。
昭和の温泉旅館と大宴会
宿泊したのは、岐阜県内の古い温泉旅館。
木の香りが残る館内は、どこか懐かしい雰囲気。
チェックインしてすぐに浴衣に着替え、
まずは温泉へ直行しました。
にごり湯の大浴場で、
窓の外に広がる緑を眺めながらつかる時間は至福のひととき。
いつもは仕事に追われる日々でしたが、
その日は時計を気にせず、
ゆっくりと湯に身を任せることができました。
夕食後の宴会では、
上司がカラオケで「北の宿」を熱唱。
いわゆる昭和の宴会スタイルでした。
最後、畳の大広間がライブ会場のような盛り上がりに。
あの一体感は、まさに昭和ならではの温かさだったと思います。
翌日は郡上八幡でまったり散策
2日目は、郡上八幡の街並みをゆっくりと散策。
水の町として知られるこの地域では、
小川が街のあちこちを流れ、
水路のそばで洗い物をしている地元の方の姿も。
ある路地裏で、小さな甘味処を見つけ、
何人かで立ち寄りました。
「水まんじゅう」という
冷たい和菓子をいただいたのですが、
これがまた絶品。
ぷるぷるの透明な皮の中に、
甘さ控えめのこし餡が包まれていて、
暑い夏にはぴったりの一品でした。
岐阜の名物グルメも満喫
旅の締めくくりは、
岐阜名物の朴葉味噌定食(ほおばみそていしょく)
大きな朴の葉の上に
味噌と刻みネギ、キノコなどが乗せられ、
コンロの火で香ばしく焼かれていきます。
味噌の香りが立ち上がると、もうご飯が止まりません。
同僚の中には、「これ、おかわりしたい!」と
2杯目を注文する人もいて、
全員が満腹&満足で帰路につきました。
昭和の旅の魅力とは
今振り返ると、スマホもSNSもなかったからこそ、
目の前の景色や人との会話を大切にできた時代だったと思います。
昇仙峡の迫力ある岩山、
採れたてのブドウの甘さ、
温泉での語らい。
すべてが色鮮やかに記憶に残っています。
いつか、あの時と同じコースを旅したら
その時はきっと、今とはまた違う景色が見えることでしょう。