東京湾を空中散歩 ゆりかもめで楽しむ未来都市の風景
東京都心から臨海エリアを結ぶ
新交通システム「ゆりかもめ」。
正式名称は「東京臨海新交通臨海線」といい、
1995年(平成7年)に開業しました。
無人運転の新交通システムとして、
当時はとても未来的な乗り物として話題を集めました。
それからすでに約30年近くが経ち、
今ではすっかり東京の風景に溶け込んでいます。
新橋から有明へ。短いけれど濃密な路線
ゆりかもめは、東京都港区の「新橋駅」から、
江東区の「有明駅」や「豊洲駅」へと続く路線です。
全長約15kmほどの比較的短い路線ですが、
その車窓からの眺めは
都内随一の美しさと言えるでしょう。
新橋を出発すると、
ビル群の谷間を縫うように走り抜けます。
無人運転で運転席がないため、
先頭や最後尾からの眺めはまさに空中遊覧。
まるでジェットコースターに
乗っているような感覚になります。
やがてビルの合間から東京湾が見えはじめ、
船の姿もちらほら。
日常生活では
なかなか目にすることのない港の風景が、
目の前に広がってきます。
「船の科学館とレインボーブリッジの絶景」
「船の科学館前」駅に近づく頃には、
海の香りが漂ってくるような気がします。
普段の生活ではあまり意識することのない海という存在が、
ここではすぐそばにあります。
大型の貨物船や観光船が行き交う風景は、
見ていて飽きることがありません。
さらに進むと、
東京湾の象徴的存在
「レインボーブリッジ」が姿を現します。
その大きくしなやかなフォルムの上には、
自動車が行き交う円形のドーナツ型道路。
海・橋・道路が重なるその構図は、
まるで未来都市のような美しさです。
「お台場の魅力と今はなき名所たち」
ゆりかもめのハイライトとも言えるのが
「お台場」エリアです。
フジテレビの球体展望室が見えてきたり、
ひときわ目を引く大観覧車が姿を現したり
観覧車は2022年に惜しまれつつ営業を終了しましたが、
その大きさと存在感は
今でも多くの人の記憶に残っていることでしょう。
「お台場で出会えるもうひとつの主役実物大ガンダム」
お台場海浜公園駅や台場駅に近づくと、
フジテレビの球体展望室や
観覧車のあった跡地が見えてきますが、
もうひとつ、ここで忘れてはならない存在があります。
それが、実物大の「ガンダム」立像です。
現在は、商業施設
「ダイバーシティ東京プラザ」前に設置されている
ユニコーンガンダム立像(高さ約19.7メートル)
が人々を出迎えています。
かつてのRX-78-2ガンダムから姿を変え、
今では変形演出やライトアップもある
近未来的なガンダム像として、
国内外の観光客の注目を集めています。
私が初めてこのガンダムを間近で見たとき、
その迫力に思わず足を止めました。
機体表面の細かなディテールまでしっかり再現されており、
「まさにアニメの世界が現実になった」と感じた瞬間でした。
夜にはライトアップも行われ、
日中とはまた違う表情を見せてくれます。
近くには
「GUNDAM BASE TOKYO(ガンダムベース東京)」
という公式ショップも併設されており、
ガンプラ(ガンダムのプラモデル)ファンには
たまらない空間です。
ショッピングモールやレストラン、
公園なども集まるお台場周辺は、
ファミリーにもカップルにも人気の観光スポットです。
休日には多くの人でにぎわい、
路線の車内もにぎやかになります。
「国際展示場と東京ビッグサイト」
「国際展示場正門」駅を過ぎると、
巨大な逆三角形の建物
「東京ビッグサイト(東京国際展示場)」
が見えてきます。
ここでは国内外の大型イベントや見本市、
コミックマーケットなどが開催されており、
訪れたことのある人も多いはず。
独特な建築デザインと広大なスペースは、
まさに国際の名にふさわしいスケール感。
駅から徒歩数分で会場にアクセスできるのも、
ゆりかもめならではの利便性です。
「無人電車の未来感と夜景の美しさ」
ゆりかもめは完全自動運転システムを採用しており、
運転士はいません。
ですが、普段ただ乗っているだけでは
気づかない人も多いかもしれません。
それほど滑らかで安定した走行が魅力です。
夜に乗車すれば、また違った表情が楽しめます。
レインボーブリッジのライトアップ、
海に映るネオン、お台場の夜景
まるで宝石を散りばめたような光景が
窓一面に広がります。
昼の開放感とは打って変わって、
幻想的な都市の顔を見せてくれます。
一度は乗ってほしい、東京の空中散歩
旅行者にはもちろん、都内在住の方にも
ぜひ一度体験してほしいのが、
ゆりかもめの車窓の旅です。
観光の移動手段というよりも、
景色を楽しむために乗る電車
と言っても過言ではありません。
未来的な無人運転、東京湾の眺望、都市の光と影
たった30分ほどの短い旅ですが、
その中に「東京の魅力」が
ぎゅっと詰め込まれています。
まだ乗ったことがないという方は、
ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
きっと、普段見ている東京とは
まったく違う一面が見えてくるはずです。